義歯の管理について


義歯の入ったお口は雑菌が繁殖しやすいものです。
形が複雑だったり、義歯に隠れた歯や粘膜は唾液による浄化作用が極端に低下するため装着時間と共に不衛生になります。
不衛生な状態が続くと・・・
①炎症
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これは義歯床下に繁殖したカンジダ菌による炎症です。
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②歯肉退縮
時折、義歯を外して歯肉の休息時間を作ってあげてください。

③義歯下部の虫歯の進行

特にクラスプの無い弾性義歯は歯の部分もカバーするため、慢性的に装着時間が長いと、金属クラスプのアクリル義歯よりも遥かに虫歯になりやすいのでご注意ください。
お手入れ方法は?
毎食後義歯をお口から外して、傷がつかないような柔らかいブラシ、またはガーゼ等のソフトな布で擦り洗いします。
人工歯や床(義歯の歯肉の部分)の凹み部分も細かく丁寧に磨いてください。
その際には、無歯顎の方は水で構いませんのでお口もゆすいでください。
残存歯がある方は、ブラッシングをして清潔な環境に清潔な義歯を戻すように心がけてださい。
義歯は言わば食器と同じです。
食器を洗わずに使いまわしする人は普通はいませんね。
食器と同じく毎食後の洗浄は必須です。
お口の中は常に新鮮な唾液が循環しているのですが、義歯に隠れた歯や粘膜部の唾液は義歯を装着した時のままです。 その部分はカンジダ菌や虫歯菌等の細菌の温床となります。
時には誤嚥性肺炎の原因となる事もありますので、出来ましたら2~3時間おきの洗浄と、時折義歯を外した休息時間を習慣とされる事が理想です。
細菌が繁殖すると義歯床の粘膜部がヌルヌルしてきます。
どれ位の時間装着するとヌルヌルするのかは個人差がありますので、ご自身で観察してみてください。
特にクラスプの無い弾性義歯はカバーする範囲が大きいため、より頻回の洗浄が望まれます。

硬いブラシはNG!
適したブラシをお勧めしますのでご相談ください。

ガーゼ
でふきふき
・義歯は細かい傷がつくとよけいに汚れが付き易くなります。
硬いブラシや、研磨剤入りの歯磨剤を使用しないでください。
・高温により変形、変色する材質を使用している場合があります。
60℃以上のお湯をかけたり浸さないでください。
・塩素消毒すると変色したり表面が変性しますので、必ず義歯専用の
洗浄剤をお使いください。
夜間ははずしておいたほうがいい?
歯肉の安静のため、そして健在歯の歯周病や虫歯の予防のためにも基本的には就寝中は義歯をはずしておきましょう。
但し、局部義歯の場合、義歯を外すと残存歯に有害な咬合力が集中してしまい思わぬトラブルになる事や、左右の咬合バランスが狂う事で体調に悪影響が出る場合があります。
(特に食いしばりや歯ぎしりの習慣がある方は要注意です。)
又、上顎が総義歯、或いはそれに近い部分床義歯の場合、上顎の義歯を外すと嚥下(唾液を飲み込む事)がし難くなるケースがあります。
そのような場合は、舌根沈下や呼吸に障害が出る場合がありますので、十分に洗浄して清潔な義歯を上のみ装着してお休みください。
これらには個人差がありますので、個別に歯科医師にご相談ください。

オヤスミ
ナサイ…
はずした後の保管は?
洗浄剤で
除菌しましょう

就寝前にはしっかり義歯を磨き、義歯洗浄液(クリーナー)に浸すことをお勧めします。
洗浄剤を使用することでカビ菌や雑菌などを除菌することができます。
洗浄液を使用しない場合も、義歯が乾燥して歪むことがあるので水に浸しておきましょう 。

義歯の材質によっては、指定された洗浄剤以外のものを使用すると変色することがありますのでご注意ください。
こんな時はご相談ください
・噛むと歯茎に喰い込んで痛い。
・食べているとはずれてしまう。
・話をしているとはずれてしまう。
・噛み合わせが高い、または低い気がする。
・その他、不具合がある。
入れ歯安定剤について
テレビでよく宣伝している入れ歯安定剤ですが、不適合な義歯と歯肉との隙間を埋めることにより義歯の安定を図る粘着剤やクッション材で、たくさんの種類が販売されています。
学会のガイドラインでは不良な顎堤形態や口腔乾燥などの義歯使用に不利な口腔内状態の高齢者に対しては有効な場合もあるが、長期の使用による為害作用を防ぐために歯科医師管理下で短期間の使用が望ましいとされています。
為害性というのは、入れ歯安定剤のベタベタした性状が細菌の温床となり清潔な状態を保ちにくい事によります。 長期の使用では発がん性や細胞毒性の報告もあります。
高齢により通院が出来ない等、何らかの理由で歯科に受診できない方は仕方ありませんが、単に適合が問題であれば、義歯のリベース(裏打ち)という簡単な修理で容易に解決できるケースも多いです。
しかし、実際には人工歯の摩耗により咬合がずれてしまう事で不適合になっているケースが大半です。
その場合は顎骨の異常吸収や顎関節症など、他の様々な疾患が助長されますので、まずは当院への受診をお勧めします。